写真業界

めがね反射除去AI

AI研究開発

オンプレミス環境

サマリー

大規模な写真補正工程を持つ印刷ラボ向けに開発したAI自動補正システムです。
人物写真における「メガネレンズへのライト反射」をAIが自動で検出・除去し、自然な仕上がりを実現します。
Pythonをベースにオンプレミス環境で構築され、1日最大2万件規模の画像処理を安定的に行うことができます。

背景

大手写真館で撮影される集合写真や個人写真では、被写体がメガネを着用している場合、照明の反射が映り込むケースが多く発生します。
この反射は写真全体の印象を大きく損ねるため、長年にわたり熟練のレタッチャーが手作業で修正を行ってきました。
しかし、大量の写真を扱う印刷ラボでは、1日に数万点の画像を処理する必要があり、人手による対応は膨大な工数とコストを要していました。
こうした背景から、「人手の品質を維持しながら自動化を実現するAI」が求められていました。

提案方針

Monolithic Designでは、実際に人手で行われていた補正データをAIの教師データとして活用し、現場のレタッチ品質を学習するAIモデルの構築を提案しました。
AIによる反射検出・除去により、光の映り込みを自然に修復し、人物の表情を損なわない補正を実現。
また、現場作業者からのフィードバックを反映してモデル精度を継続的に改善することで、実運用に適したレベルまで高めました。

活動内容

  • AIモデル開発
    人手で補正された数千件のデータをもとに学習データセットを構築。
    光反射領域の検出と修復を同時に行う深層学習モデルをPython上で実装しました。
  • 実装・運用設計
    オンプレミス環境にGPU処理サーバを構築し、1日2万件規模の自動処理に耐えうるシステムを設計。
    AI処理後は人のチェックを最小限に抑えるワークフローを確立しました。
  • 現場との連携
    実際のレタッチャーの意見を取り入れ、肌トーンや目の輝きなど「自然さ」を保つ補正ロジックを改良。
    運用後もフィードバックサイクルを継続し、AIの実用精度を維持・向上させています。

結果

本システムはリリース以降、現場から非常に高い評価を得ています。
AIによる反射除去処理により、人手での修正作業を大幅に削減しながらも、従来と同等以上の自然な仕上がりを実現。
現在では、印刷ラボ全体で日次数万件規模の処理が安定稼働しており、生産効率の向上と人件費削減に大きく貢献しています。
また、本技術は今後、人物補正AIの基盤技術として他補正領域への応用も検討されています。