サマリー
本事例は、大型テーマパークにおけるアトラクション用「キャラクター合成写真サービス」に対し、弊社が開発したAI技術をバックエンドに導入した取り組みです。撮影された列・空枠に自動でキャラクターを合成することで、付加価値ある思い出写真の提供を可能としました。
背景
テーマパークのライド型アトラクションでは、乗船時に撮影される写真が顧客の記念品として高いニーズを持っています。従来、このような記念写真には多くの他人が写ることや空席が目立つことによる購買意欲の損失があった。そんな中で、キャラクターが同席しているような見せ方ができれば、顧客が写真を閲覧・購入する体験としても「楽しさ」「驚き」の演出が求められており、いかにスムーズかつ精度の高い合成サービスを提供できるかが鍵となっていました。
提案方針
弊社は、テーマパークの現場で必要とされる「自動化」「高精度」「顧客体験強化」の3点を軸に技術提案を行いました。具体的には以下の方針を掲げました。
- 被写体(乗船客)の位置・姿勢を高精度に検出するAIモデルを構築し、キャラクター合成用の空枠との最適なマッチングを実現。
- 合成位置・スケール調整・重なり具合の最適化を自動化し、一貫したクオリティで大量処理が可能なワークフローを設計。
- 顧客の購入体験を損なわないために、合成処理を撮影直後の迅速な段階で完了させ、閲覧・購入画面において違和感なくキャラクター入り写真を提示。
活動内容
- AIモデル開発:撮影データをもとに、乗船客のポジション・顔向き・重なり・身体の一部が隠れているか等を検出するデータセットを構築。これを用いて、検出モデルを学習。
- 合成アルゴリズム実装:検出された被写体位置に対して、テンプレート化されたキャラクタースタンバイ位置(空いている列)をマッチングし、スケール・位置・角度・重なり補正を含めた合成処理を自動化。
- ワークフロー統合:撮影→検出・合成→購入画面提示という流れを現場のシステムに組み込み、既存撮影管理システムおよび画像配信基盤との連携を実現。
- 性能チューニング:合成結果の視覚的品質(キャラクターとの自然な重なり・抜け・身体パーツとの重なり防止)を実地検証し、モデルおよびアルゴリズムを反復改善。
結果
サービス導入後、以下のような成果を確認しています。
- 顧客体験として「撮った写真にキャラクターが自然に入り込んでいる」演出が実現され、購入意欲向上が見込まれる環境が整備されました。
- 現場では安定した合成クオリティが確保され、異なる撮影枠・列・背景・光条件にも適応できるようになっています。
- 様々なメディアでの紹介もされています。